これだけは知っておきたいファッションビジネス用語
[あ行]
【アイドマ(AIDMA)】
消費者が購買に至るまでの行動は、At t e n t i o
n(注意)、In t e r e s t(興味)、De s i r e(欲求)、Me m
o r y(記憶)、Ac t i o
n(行動)の五つに分けられる。その英語の最初の文字を連ねて「AIDMA」の法則と言う。
【アイテム】
一般には品目のことを指すが、厳密にはこれ以上分類することができない、すなわち素材、デザイン、サイズ、色柄別に細分化した商品分類の最小単位のこと。
【アクセントカラ−】
全体のルックスに変化をつけ、
新鮮な効果を生み出すために使われる強調色のこと。
ダ−クス−ツのポケットチ−フに黄や赤などをあしらうことも、これの効果的な配色方法である。
【アシメトリック】
不均衡の、不釣り合いのといった意味で、ファッション用語としては左右対称ではないデザインに使う。「ワンサイド」「オフバランス」とも言う。たとえばボタンの開きの位置を脇にとったシャツなどに用いる。
【アセテ−ト】
半合成繊維の一種。
パルプを主原料にしたもので美しく、 しなやかなところから
「美の繊維」とも呼ばれる。半合成繊維(再生繊維を薬品加工したもの)は、この他にトリアセテ−ト、プロミックスがある。
【アパレル】
衣服(ウエア−)の古語、
雅語。
服装、装いを広く意味する言葉だが、最近では「服飾産業」の名前として「アパレル産業」「アパレル企業」というように使われることが多い。似たような言葉にガ−メントがあげられる。
【ア−ル・デコ】
1920年代に起こった芸術様式。ジオメトリックパタ−ンを中心とした配色、柄を特徴としている。
【ア−ル・ヌ−ボ】
1890年代から20世紀初めにかけて流行した美術様式のこと。最初、フランス、ベルギ−を中心に生まれ、主として建築、工芸のデザインにとり入れられた。ファッションに与えた影響も大きい。
【アンテナショッブ】
メーカーや卸売商が、自社の経営や商品企画に役立つ消費動向や地域特性、商品の売れ筋などのデータや情報の収集、また新商品のテスト販売や人材育成などを行うことを目的として出店する店舗のこと。
【アンゴラ】
アンゴラ山羊やアンゴラうさぎからとれる毛のこと。それだけでも、また混紡しても用いられ、柔らかでなめらかなタッチが特徴の素材である。
【委託販売】
商品の所有権をもちながら、販売だけを第三者(卸売商や小売店など)に委託して販売してもらう販売方式。販売側は仕入れた商品のうち、売れた商品だけの代金を支払い、売れ残れば返品できる。
【インディーズブランド】
ビジネスの基盤をもたない若いデザイナーが、個性的な手づくり感覚で発信するブランドのこと。インディーズは音楽シーンから誕生した言葉で、インディペンデント(独立する)からこの名前ができた。
【インポートDC】
海外のデザイナーが企画し、海外で製造され日本に輸出されている商品のこと。
【ウォンツ】
ニーズとほぼ同義語で、消費者の「欲求」あるいは「欲している商品」を言う。購買動機などの分析に際して、ニーズとウォンツを厳密に分ける場合は、ニーズは着るということの社会的必要性や保温性、丈夫さ、機能性などの生活必需要素として、ウォンツは見かけのよさ、流行性などの自己満足要素として使う。
【売れ筋】
たとえば、たくさんあるセーターの中で価格、品質、デザインなどが消費者の要求にぴったり合い、よく売れるものを売れ筋(商品)と言い、逆に売れゆきの悪い商品を死に筋(商品)と言う。
【SPA】
「スペシャリティストア・リテーラー・オブ・プライベートレーベル・アパレル」の略で、アパレル製造小売業のこと。固有のコンセプトに基づいて商品開発を行い、流通、販売活動などを一貫して行うファッションビジネスの新しい業態として広まってきている。
【エスニック】
「人種(種族・民族)的な」
という意味。
ファッションにおいては民族衣装、あるいは民族衣装的なデザイン・モチーフを施したルックスを指す。
【オリジナル商品】
自社で独創的に開発した商品のこと。
【オーガンジー】
細い番手
(糸の太さを表示する単位のひとつ)
の木綿糸やナイロン糸などで織られた平織り地で、やや堅く張りがあって、半透明の薄地になっている。シースルールックのシャツなどに用いられる。
【オート・クチュール】
「高級衣装店」または「高級注文服」のこと。お客のためにまったくのオリジナルをデザインする。
【オープン価格】
メーカーが行う価格政策のひとつ。メーカーは自分たちが作った製品の値崩れを防止し、ブランド価値を守るために「メーカー希望小売価格」制度を導入していたが、価格破壊やディスカウントの登場で自分たちが希望するメーカー希望小売価格を維持できなくなってきた。そのため製品を出荷するときにあえて希望小売価格を示さず、小売店に価格を自由に決定させようとした。オープン価格を実施するメーカー側のメリットとして、自社の卸売価格を守りつつ、ディスカウンターの量販力を利用して自社の製品を大量に売ることができる点があげられる。
【オリジナルブランド】
独自開発ブランドのこと。とくに品質、機能、デザインにおいてオリジナリティーを出すために、独自に開発したブランド商品のことを言う。
[か行]
【海外ブランド】
外国のデザイナーや業者と提携して、国内で売られている衣料品の通称。提携の形にはさまざまなものがあり、技術の供与を受けるもの、デザインを引き継ぐものなどの他に、ネーミングだけを借用するものもある。ライセンス契約を交わすところから「ライセンス商品」「ライセンスブランド」などとも言う。
【買い回り品】
購買習慣による商品分類のひとつであり、購買にあたって何軒もの店を見て回るような商品などのこと。
【キャミソール】
スリップのように肩から細いひもで吊る形のトップス。重ね着することにより1年中使用できるアイテムとなった。
【CAD】
「コンピュータ援用設計」のこと。パタンナーが型紙をおこすときの作業を、手描きより簡単に設計するコンピュータである。微修正も簡単にできる。
【クラスター】
同種類の物や人の「群れ、集団」。マーケティングでは、不特定多数の消費者の中で同じ価値観やファッションの好みなどをもつ人々を、一つのグループに括ることを言う。このようなグループ分類を「クラスター分類」と言い、今日ではこれがマーケティング分析する際の基本単位となっている。
【現金問屋】(げんきんどんや)
卸売り業態の一つ。実際に店舗を構えて現金売りを行う現金卸売り問屋。東京の横山町、馬喰町、大阪の船場などが現金問屋街として有名。
【顧客データベース】
一人ひとりの顧客に関するさまざまな情報を蓄積したデータの基本台帳のようなもの。今日の消費者の二一ズは多様化の一途をたどっているから、個人の属性に関する情報や買い物の記録を収集、蓄積したデータベースは今後の営業戦略の武器となる。
【コーポレート・アイデンティティ(CI)】
企業の経営理念に対して正しいイメージをってもらえるように
「
わが店らしさ」を言葉で表わすと同時に、デザインやカラーでビジュアル化すること。
【固定客管理】
定期的に買い物に来てくれるお客の名前、顔、住所、職業、好みなどを知り抜き、そのお客の継続購買を期待するための情報管理や行為。
【コ−ディネ−ト】
もともとの意味は、「同等の、同格の、等位の」である。これが転じて、2種以上のものを感覚的に統合、調和させる意味で使われるようになった。服飾用語としては、スタイル・色柄・素材などを関連させてバランスを図り、一つのルックスに仕上げることを言う。
【コスト】
「原価」を表わすが、「経費」「費用」などの意味で使われることもある。
[さ行]
【彩度】
色の3要素の一つ。英語ではクロマ(chroma)と言い「C」の略号を用いる。色の鮮やかさや色の冴えの度合を示すものである。
【サージ】
梳毛糸、または綿糸を使った綾織り地のこと。綾目が斜め45度にはっきり出るのが特徴。「背広はサージに始まりサージに終わる」と言われたように、背広地の代表的な生地である。しかし最近ではブレザー、コート、学生服などに使われることが多い。
【シェア】
「占有率」、市場全体の中で占める売上比率のこと。
【シーチング】
本来はシーツ用の生地という意味でこの名がある。粗末なさらし綿布のことを指し、ごく簡単なカジュアルなシャツ、パンツなどが作られる。また、立体裁断で、実際の作業にかかる前に型紙どおりのものを、これで作ることも言う。
【主力商品】
メーカーや小売店がそろえた商品の中でも、最も力を入れている商品のこと。
【スエ−ド】
裏皮を細かく毛羽立てたなめし革。
本来キッドスキン
(子山羊の皮)を原料としたが、現在では主にカ−フスキン(子牛の皮)が使われる。スエ−ドはフランス語で「スウェ−デン」
の意味。
このような加工をほどこした手袋をこう呼んだ。スエ−ド仕上げをした織物をスエ−ド・クロスといい、コットン・スエ−ドなどが含まれる。
【ストリートファッション】
デザイナ−やアパレル企業がつくりだすファッションではなく、街に集まる若者から発信されるファッションのこと。
【ストアブランド】
小売店が独自につけた商標のこと。
【セ−リングポイント】
お客の購買を促すようなその商品の長所、特徴。
【セールスプロモーション】
お客の購買意欲に働きかけ、購買に結びつける販売促進活動。イベント、売り出し、実演販売などのほか、P0P広告やチラシ、社名広告などがある。
【ソシアル】
本来「社交的な、社会的な、懇親の」といった意味の言葉だが、正確にはソーシャルと発音する。ソーシャルウエアは和製で、フォーマルウエアほど格式ばらないパーティー着、社交服といった意味に用いられている。
[た行]
【DM(ダイレクトメール)】
宛名広告のこと。とくに専門店では不特定多数ではなく、特定客に対する呼びかけのための販促な媒体。
【ターゲット】
「的、標的、目標」。メーカーなどが狙う特定の顧客層など。
【タック】
「ヒダ」のこと。スラックスのウエストやバンド下部によく見られ、これのないものを「ノータック・スラックス」、一本のものを「ワンタック・スラックス」などと使われる。
【タフタ】
なめらかな感触のある平織り地。薄コハクなどとも言う。使う素材によってシルク・タフタ、ナイロン・タフタなどの名称がある。
【ダブルフェース】
表と裏の色や組織の両面を表として使える織物のこと。
【直営ショッブ】
メーカーが直接運営する店のこと。
【ダ−ツ】
「縫い込み」のこと。背広の前ダ−ツ、などと使う。縫い込みをとることによってジャケットのシルエットが変化してくる。ダ−ツのない背広としては、アイビ−調があげられる。
【タグ】
「商品の下げ札」のことで、タッグとも言う。メーカー番号や商品の名称、品番、色、サイズ、値段などが記されている。
【ディテ−ル】
「細部」の意味。衣服で襟やポケットなど細かい部分のことを指す。ディテ−ル・デザインなどと使う。
【TPO】
Time (時間)、Place
(場所)、Occasion
(目的)の頭文字をとってつくられた造語。「時と場所に応じた服装」を示す。
【DCブランド】
デザイナーズエンドキャラクターブランド Designers
Character Brand
の略。デザイナー個人のブランドと、ブランドのキャラクターを押し出したキャラクター・ブランドのこと。
【デッド・ストック】
不良在庫、売れ残り商品のこと。
【トレンド】
「傾向」のこと。トレンドを把握することは商品企画には不可欠。
[な行]
【ナイロン】
合成繊維の一種。アメリカのデュポン社のW・H・カローザスによって発明された、世界最初の合成繊維である。
【ナショナル・ブランド】
知名度や商品のシェアが全国的規模のメーカー・ブランド(商標)のこと。
【ノベルティー】
もともとは目先の変わった商品、珍しい物のこと。ここから転じて、メーカーや小売店が販促用にサービスする「みやげもの」を言うようになった。名前入りのマッチやカレンダーなどがそれであり、景品とは違って、あくまでも宣伝やファン集めのために用いるのが大きな特徴。
[は行]
【ピリング】
布地の表面にできた「毛玉」のこと。
【ファッションサイクル】
ファッションはある程度の期間を経て繰り返し現われるもの。そうした周期を「ファッションサイクル」と呼び、商品企画に役立てている。3年周期説、5年周期説、10年周期説がある。
【ファッションマッブ】
ファッション企画のテーマに基づいた色、スタイル、素材などをビジュアル化するマップのこと。
【プライベートブランド】
百貨店や専門店などの小売業者が、独自に企画開発したオリジナル商品のこと。
【フランチャイズチェーン】
「FC」と略されている。本部が販売権利(フランチャイズ)を加盟店に与えて、本部が経営方法を指導することで契約が成立するチェーン店。
【プレミアム】
購買時のサービスとして小売店などがお客に提供する「景品」のこと。ノベルティとは区別される。
【プライスゾーン】
価格帯。一つの商品の価格の下限から上限の幅。
【フォークロア・ファッション】
世界の民俗 (族)
衣装にアイデアを求めて作られた服装、
またはそれの影響を受けた服装、またそれを直接用いた服装などの流行を言う。一般的には「民俗(族)服的なファッション」のこと。
【ベ−シック・ファッション】
フォワ−ド・ファッションに対する言葉。あらゆる流行の中で、つねに根底にあり、安定したスタイルを保っているファッションのこと。
【P0Sシステム】
ストアオートメーションの先導役。日本語に訳すと「販売時点情報管理」。レジスターを端末器とし、本部のコンピューターと連動させ、販売した時点で単品ごとの売り上げに関する情報を収集、登録、蓄積する。売り上げ管理や商品管理、顧客管理などを効率的に進めるシステムである。
【P0P広告】
購買時点広告。プライスカード、サイズや直し料金表、売り出しタイトル、ポスターなどすべてをP0P広告と呼ぶこともある。
[ま行]
【マーケティング】
商品計画から仕入れ、広告宣伝、販売に至るまでの市場調査を含む全体的営業活動のこと。
【マーケットリサーチ】
市場調査のこと。さまざまな観点から狙いとする市場の調査が展開され、商品、消費者、販売経路の3つの分析をして、マーケットリサーチの基本とする考え方もある。
マーケティングに関するすべての調査を 「
マーケティング・リサーチ」と呼んで区別する。
【マーケットシェア】
市場で特定の商品が占める売上高の比率のこと。
【モード】
ファッションと同意語であるが、普通のファッションより高級感を感じさせる呼び方。
【最寄品】
購買習慣による商品分類の一つであり、下着、靴下、洗剤のように、いくつもの店を回らずに近くの店で買うような品のこと。
[や行]
【ユニ・セックス】
ユニは「同一の」の意味から、性別意識のない服装などについて用いられる用語。モノセックス(monosex)とも言う。
[ら行]
【ライフサイクル】
「生命周期」などと言い、人の一生の区分け過程を指すが、ファッションビジネスでは商品の市場における成長から衰退までの過程を表わす。つまり、紹介期から成長期、衰退期に至るという商品の寿命を指すもの。
【リテイラ−】
「小売屋」の総称。商品の生産者側(メ−カ−段階)から見て、デパ−ト、専門店などの小売り業者を指す言葉。
【ル−ズ・フィット】
衣服が身体から離れて、ゆったりした状態のこと。タイト・フィットの反対語として使われる。
【レアもの】
RAREとは稀な、珍しいという意味で、めったに手に入らない商品のこと。
[わ行]
【ワ−ドロ−ブ】
原意は衣装ダンス、
衣装棚のこと。転じて「 持ち衣装
」のすべてを言う。自分が持っているコ−トから肌着、アクセサリ−までの衣装、服飾品のすべてを意味する。また、アイビ−・ワードローブのように、一つのファッションに関する必要なすべての品々を言うこともある。